皆さんは、「エンリッチメント」という単語を耳にしたことはありますか?
犬と暮らす上で、「エンリッチメント」を意識することは非常に重要です。
愛犬のお困りの行動を改善するために、ohana relationshipの初回カウンセリングでは、必ずこの「エンリッチメント」が日頃どのぐらい達成できているかをお伺いします。
今回は、エンリッチメントとは何なのか?を簡単にご紹介します。
エンリッチメントの意味
エンリッチメントとは、マーコウィッツ博士によると
” 犬という動物種の自然なニーズを知り、飼育下で可能な限り、そのニーズを可能な限り満たせるような環境を整えること ”
を指します。
犬という動物の行動
犬を含め、人が介入しない状態での野生動物は、1日のほとんどの時間とほとんどの能力を、食べ物を獲得するために費やしています。
※馬は、1日の採食時間が約16時間と言われています。寝ている時間以外の殆どが、ご飯を食べるのに費やしているのが分かりますね。
では、犬が捕食するための行動はどのようなものがあるでしょうか?
以下の項目が挙げられます。
・ねぐらから出る
・歩く
・調査する(匂いを嗅ぐ、周囲を見渡す、掘るなど)
・待つ(物陰に隠れる、注意深く見る)
・追いかける(忍び寄る、走る、障害物を飛び乗る・越える・降りる)
・捕まえる(前脚でおさえる、噛む、噛んだまま首を振る)
・引きちぎる
・運ぶ
・咀嚼する
つまり、以上の行動は「犬の自然なニーズ、つまりエンリッチメント」であるとも言い換えることが出来ます。
エンリッチメントの提供
では、エンリッチメントの提供はどうすればよいでしょうか?
一番のエンリッチメントの提供方法は、散歩を通して「ゆったりと歩き、匂いを嗅ぎ、時には寝転んだり、走り回ったり…」犬の自然なニーズによる行動が出来るよう環境を整えることが1番効果的です。
私の愛犬のトイプードルは、ゆったりと歩き、沢山の匂いを嗅ぎ、時には寝転がることがお気に入りです。
そして、同じく愛犬のボーダーコリーは、走り回り、様々な場所に乗り、時には匂いを嗅ぎ、泳ぐこともお気に入りです。
このように個々によっても、お気に入りの行動傾向があります。
また、室内でもエンリッチメントの提供は可能です。
例えば、1日2回の皿からフードを与える飼い主は多くいます。
しかし、人が犬に皿から食事を提供することで、犬は多くの行動と能力を発揮する機会を失っています。
そこで、知育玩具から餌を提供することはお勧めです。
知育玩具を使用することで、犬は「追いかける、捕まえる、舐める、匂いを嗅ぐ」などといった行動が起きやすくなります。
知育玩具のあれこれ
知育玩具のお勧めについてよくご質問を頂くので、以下に記載します。
・コング
→豚の耳などの硬いものを折り曲げて詰め込む
→ペースト状のものを入れて凍らせる
・ノーズマット
※匂い嗅ぎが苦手な犬に特におすすめ
・ボールやペットボトルなどに固形のフードを入れる
・ニーナオットソン・シリーズの知育パズル
→トルネード
→ドッグブリック
→チャレンジャー・スライダー
但し、注意してほしいのは、あくまでも知育玩具は副次的なものであり、エンリッチメントの1番の提供方法は散歩の中での出来事です。
是非これを機に、皆様の愛犬は「犬本来としての行動」がどれぐらいの出来ているのかを思い返してみてください。